寄稿者: Derek Sivers
ただ努力をしっかりすれば、アーティストになれる。
Robert Frippアーティストの職業は1つ。マネージャーはアーティストの数だけ職業がある。レコード会社もアーティストの数だけ職業がある。
Robert Frippレコード会社が失敗すると、アーティストが代償を払うことになる。アーティストが失敗しても、アーティストが代償を払うことになる。
Robert Fripp行動で僕達は自分の住んでいる世界を明らかにしてしまう。何を見ているか、理解しているか、知っているかを言葉で語る。つまり、僕達がする全てのことは、自分が誰で何なのかの反映なんだ。ミュージシャンは自分達の住む世界を表現する。すると聴衆にもその世界を覗き込む機会を与えることとなる。同様に、評論家も自身を論評するんだ。
Robert Frippパフォーマンスとは、体験できる別世界に入る手段なんだ。
Robert Fripp音楽において、[いろんな意味で]メジャーとマイナーはうまく作用・機能する。
unknown[レコーディングの]裏話が何かにもったいをつけたり、レコーディングの最中に解決しようとした問題を解決する全く思わないね。
Tom Waits
『えっと、これはジョン・ウィルクス・ブースの物語に全て基づいていて、3曲目の曲は彼が小屋に閉じ込められたときのことだよ』つまり、何だって言えるんだよ。『ヘレン・ケラーが最後の曲に登場して、彼女のお母さんが歌ったんだ』『あっ、そう』[ってな具合にね]
人の頭なんて、何にしろつじつまが合うんだよ。2つのオプションがある。ずっと同じ場所にとどまって、一番最初の成功をもたらした公式を守り続ける[っていうのが1つ]。[でも]周りの人は君が同じ場所にいることに対して、君を笑い物にするだろう。そして、[今度は]君が変わると、変わったことに対して、笑い物にするだろう。でも同じ場所でいるっていうのはつまらないよね。だから、2つのオプションのうち、[どうせ]笑い物にされるなら僕は変わりたいね。
Joni Mitchell満足しているアーティストなんて[どこにも]いない。何に対してでも、いつであっても満足なんてないんだ。奇妙な、でも神聖な不満の種だけがあって、それは僕達をどんどん前進させて、他の人達よりも自分達をより活き活きとさせてくれる喜ばしい動揺の気持ち[とでも表現したらいいかな]。
Martha Grahamこの業界において、苦い思いを経験するのはバカバカしいほど簡単で、少なくともほんのわずかでも他人の成功に対して怒りや敵意を覚えないっていうのは難しい。
Jimmy Webb
[でも]実際のところ、妬みや恨みって、ソングライターが扱うにはとっても悪い題材なんだよ。
1曲や2曲この題材で書けて、その曲がとても良くできてたとしても、恐らく誰も聴きたくないだろうね。
自分の初期の頃の音楽に、侮辱的言動を含ませて、それを特定の人達に向けたことがあったんだけど、自分の創造活動の中でその行為を僕は何よりも今後悔しているよ。もしうまく行かなかったとしても、今までに成功したことは、今までに試されたことのない何かほど良くはない。
Jimmy Webbミステリアスな一致に満足したと小説に小言を言うのは間違いだけど、ある男に彼の日々の生活において、そのような一致に気づかなかったことに対して彼をたしなめるのは正しい。それって、彼の人生に美しい面がないってことなんだ。
Milan Kunderaコンピュータは役に立たないよね、答えを出すことしかできないんだ。
Pablo Picasso音楽業界入門コースなんてものが存在するなら、そのコースを受けたかったよ。
Kurt Cobain僕が思うに、ロックンロールはフォーク音楽だ。
Robert Plant説明しようとしないで、とにかく売れ。
Colonel Tom Parker誰も何も盗まないと僕は思う。皆、[ちょっと]借りてるだけだよ。
BB Kingレコード契約を得るまではただのローカルバンドだけど、その[契約]後はブルース・スプリングスティーンが突然ライバルになったりする。
Sammy Llana牛乳業界が製品をセクシーに見せて消費者の需要を上げることができたら、音楽にもまだ希望があるにちがいない。
Gary Arnold, Merchandising Manager, Best Buy音楽なしでは、全世界における最高のマーケティングプランでさえ何の意味もなさない。
Eddie Rosenblatt, Geffen Recordsある女の子とやりたい、或いは別れたい時の一番簡単な方法は、彼女についての曲を書くこと。
David Crosby表現の自由なしには、センスの良さなんて意味がない。
Neil Young僕を常に拒絶する業界の僕は生き残りだよ。
Dick Clark電話でなんかよりも、コンサートのバックステージでもっと取引をまとめ上げるよ。
Michael Lippman誰もプラスチックと紙なんて買いやしない。皆、感情や感動を買うんだよ。
Scott Young僕にとってお金を重要だと思ったことはなかったね。肝心なのはレガシー、つまり僕が後に残す物だよ。
Berry Gordyこの業界で一番大変なことと言えば、誰も聴いたことのないバンドを始めることだ。
Tom Whalley, Interscope Recordsグループを結成して曲を書き、レコードをリリースして、世の中の人が気に入ろうが気にしないって言う人は完璧な嘘つきだ。
James Dean Bradfieldインディーズレーベルは金儲けすることなく、何か[すばらしい物]を生み出す。大きなレーベルはその何かを買い取って、ここぞとばかりに金儲けする。
Tom Silvermanレコーディングできるからといって、するもんじゃない。
Christopher Knab自分に起こったからって、それが[他の人にとっても]面白いとは限らない。
Dennis Hopper近代音楽っていうのは、聴けない人々にレコードを作るための曲を書けない契約アーティストを考えられない人々なんだ。
Frank Zappa音楽を好きじゃない人のための音楽の時代に僕達は生きている。少し前に、実際に音楽を本当に好きな人はそんなにいないってことをレコード業界がつきとめた。多くの人にとっては、音楽はイライラする、或いはなくても良いものなんだ。そういう人たちに音楽を売ることができたら、もっとたくさんのレコードが売れるって彼ら[レコード業界]は気づいたんだ。
T Bone Burnett制限事項が君を自由にする。
W. A. Mathieu君は自分がなりきっている[フリをしている]もの、そのものなんだよ。
Kurt Vonnegut無理強いしないで、ただ自然に落とすんだ。
Duke Ellington経験に勝る知識などない。
John Lockeナッシュビルでのライブが終わった後、ジェームス・ブラウンはその場で僕にセッションをやってくれないかって頼んできたんだ。もうその時間には飛行機も飛んでないしってことで、車に飛び乗ってわざわざ行ったよ。
Ron Lenhoff
着くまでに5時間もかかってスタジオに着いたら、ジェームスもミュージシャンもレコーディングする準備ができててそれから4曲作ったよ。僕が帰る前に、ジェームスが『ロンに最後の曲の10%を渡して』ってマネージャーに言ったんだ。
で、その曲っていうのは『セックスマシーン』だったんだけど、ソングライターの契約書を書き上げて、それ以降ずっと[著作権料を]徴収しているんだよ!ジェームス・ブラウンは何も曲を持たないで、急に姿を現すことで有名だったよ。ただ単にアイデアをを頭に持ってて、スタジオに来たらそれをその場でいきなり即興でやるんだ。
Ron Lenhoff
彼はドラムも鍵盤楽器もできるから、何を自分が求めているかはきっちり自分でわかっていたよ。ベースとドラムを中心に、ミュージシャンとパターンを作って、その後ギターを入れてくるんだ。
ミュージシャンの皆はジェームスと長年仕事してるから、何を要求されてるのかわかってて、リズムセクションが出来上がってきたら、管楽器にとりかかるんだ。ジェームス・ブラウンがシンシナティ或いはその近郊でコンサートをする時は、必ずキングスタジオに夜遅くに現れて、たった何時間かの間に3曲から4曲録音してたよ。
Ron Lenhoff
キングスタジオだと、録音、ミックス、原盤作り、ディスクのプレス、ラベル貼りの全てができる施設がそこにあるから、完成品は24時間以内に出荷可能なんだよ。エンジニアの僕にとって音は重要だけど、レコードを売るパフォーマンスや感触も重要なんだ。
Al Schmitt
僕は人々を感情的に突き動かしたから大ヒットになった酷いレコードを数々知ってるし、完璧に聞こえるレコードなのに全然売れなかったのも知ってる。
人っていうのは完璧であるものに気持ちが通じにくいんじゃないかって思うね。その当時の良かったところって、次から次にとっかえひっかえ女の子とデートするみたいに、違う種類の音楽を取り扱えたこと。
Al Schmitt
例えば朝の9時から12時まではティナ・ターナー、午後はヘンリー・マンシーニ、そして夜はサム・クックって日があったのを覚えてるよ。今だと、3時間で2曲仕上げるなんて偉業もいいとこけど、50年代とか60年代なんて3時間で4曲作ってたよ。
Al Schmitt
レイ・チャールズのアルバム全曲の12曲をたった7時間で仕上げたなんてこともあったよ!ある時、トミーがモノマスターテープの上にいろんな物をのっけてて、『こうやったらどうする?』って冗談のつもりで言ったんだ。なのに、どうしたことか僕は録音ボタンを本当に押してしまったんだよ。
Al Schmitt
トミーは僕を見るし、僕も彼を見て、すぐさま二人で機械を止めようと飛びついたけど、そこに入ってたものは消されてしまった後でね。
その後、二人で一緒に4つか5つのカットされた録音素材を何時間もかけてつなぎ合わせたよ。何が起こったのかは誰にもわからないけど、レコーディングスタジオでは絶対に悪ふざけしてはいけないってことを充分に思い知ったよ。6歳か7歳の頃、父親がおじのスタジオによく連れてってくれたよ...そこで、すごく大きなバンドがたった1個のマイクで録音されるのを見たんだよね。
Al Schmitt
ミュージシャンの方が動き回るんだ。ソロの楽器が立ち上がっておりてきて、マイクの前で演奏してはまた所定の位置に戻って座る。
あと、足を踏み鳴らしても音が出ないようにと、皆靴を履いてなかったのを見たのを覚えてるよ。この業界で成功して良いことの1つに、同じように成功した大物と共演できることがあげられる。
Al Schmitt
彼らには最高のミュージシャンを雇って、最高のスタジオで最高の機器を使って仕事をするだけの経済力がある。そこまでやって、最高の音が作れなかったらバカもいいとこだよ。ジョン・レノンはいつも実現や達成が不可能なことを追い求めていた。決して[現状に]満足しなかったんだよ。
George Martin
彼が数年後に『ジョージ、今まで僕達がやったことの中で、本当に気に入ったものってないんだよね』って僕に言ったんだ。僕は『えっ、そうなの?でも君はとっても素晴らしいレコードを作ったのに!』って答えたんだ。すると『もう一回全部やり直しができるんならやるよ』って言ったんだ。A&R[曲作りのコーディネータ、現在ではスカウト]の人間は何にもわかっちゃいないね。周りの物事がわかってたら、ヤツらは全員億万長者になってると思わない?
Mickie Mostカーネル・パーカー(エルビスのマネージャー)から特別配達便が届いて、中の手紙には『ジェリーへ。週末までにはこっちに来るように。次の新作映画の楽譜とそのレコーディングセッションの契約書を同封してあります』って書いてあったんだ。
Jerry Leiber
でも、その手紙に同封されてたのは、パーカーと僕が署名と日付を記入する箇所が設けられただけの白紙の紙だったんだ。契約内容が見当たらない!
それで、僕は彼に電話をかけて何かの手違いがあったみたいだって言ったら、『どんな手違いだ?』って訊くから『署名するページはあるけど、[肝心の]契約書が見当たらないよ』って答えたんだ。そしたら彼が『それが契約書だ!』って言うんだよ。『トム、何にも[契約内容が]ここには書かれてないよ』って僕は[すかさず]言ったんだ。
すると、『まぁ、何でもいいから署名だけしろ。残り(の契約内容)は俺らが記入しておいてやるから!』って言うんだよ。1953年から1960年はデッカ[レコードレーベル]と仕事してたんだけど、その間に何よりもビジネスを学んだよ。
Bob Thiele
その当時、A&R[曲作りのコーディネータ、現在ではスカウト]担当のトップで良かったことって言うと、曲に関して[はもちろん]、音とアレンジに関して、レコードの仕上がりや発売時期に関して、そういう全ての最終決断を僕がする。[曲作りの]全てを管理する、それが仕事だったんだ。
現在はっていうと、何でも委員会で決められる。レコード1枚出すにも、9人ぐらいの人が集まって決めなくちゃダメなんだよ。今のスタジオって、一人一人のミュージシャンをほとんど完全隔離してるって言ってもいいほどの作りだよね。
Chet Atkins
僕の意見としては、それってクリエイティブなプロセスにはあんまり良くない[と思うんだ]。昔はピアノの周りに皆集まって、何度か音を出してみて、フィルやリズムリックのアイデアをそこでもらってた。そして、そっちの方がもっと楽しかったよ。
こういうプロセスがまだ続いてるのはわかってるけど、でも[昔と今じゃ]比べものにならないね。歳を取ると、自分自身によりも他の人に希望を持ち始めるんだ。
Bob Dylan世界一のギター弾きであったとしても関係ないね。[悟りで]心の目が開いてなかったら、話にならないよ。
George Harrison毎回音楽の演奏をしているときに、ほとんどって言っていいほどどっか途中で自分[つまり理性]を失うんだ。
David Torn
[ちょっとした自分の中での]葛藤と、超が付くくらい自意識過剰になる時点もあるんだけど、でもいつもどこかで理性を失う。
演奏している間に、何かに対する葛藤があって、でもそれが気合いとまぁいいかっていう妙な[気持ちの]組み合わせで崩れていくっていうパターンなんだ。
この過程って、メチャクチャ楽しいんだよね。『あっ、どっかになくなった!』ってね。たまに聴衆とバンドと一体感を感じることがあって、それってまさに陶酔感というか恍惚感なんだよね。
Ringo Starr
その他の仕事よりずっと良く感じたよ。5千人、1万人もの人の波が押し寄せてきたっていう、ある種のつながりを感じたんだ。自分と聴衆がまさに1つだって感じたんだよ。うまく行かないってわかってるものに、極度に魅せられるんだ。
Neil Young音楽って体の中を貫通して、音楽の一部を体内に残して、聴き終わった時には君の一部を持っていく、そんな風でないといけないね。
Henry Threadgill頭がおかしくなることなしに、たくさんの矛盾した考えを持つことができないとダメだよ。
Bruce Springsteen
僕の仕事をきちんとやるには、ステージに向かって歩いてくときに、[この仕事が]この世で一番重要なことのように感じないとダメだと僕は思ってる。それと同時に、これはただのロックンロールなんだよって感じないとダメってね。
どうやってかわかんないけど、こんな2つの事柄を信じないとダメなんだ。とにかくやり続けて、自分がしてきたこと又はしなかった事に対する純粋な葛藤から、逆の立場に出てくるんだ。
Allan Holdsworth
もちろん、逆の立場に来ると、前のよりもさらに大きな山が待ってることに気づくけどね。バー、教会、ストリップ劇場、ヒマラヤのどこで演奏しようが、音楽のまず最初の義務ってのは生命を引き立たせてより良いものにすることだよ。
Carlos Santana彼らはただ『テープを廻せ』とだけ言ったんだ。リハーサルも何もなし。
Buddy Guy
マディー・ウォーターズは『リハーサルがしたいね』と言っては入ってこなかったよ。僕の方を見て『早くブルースを弾こうぜ。ただそれだけやってればいいんだよ』ってよく言ってたもんだよ。ミュージシャンってのは歳を取るにつれて、大抵何か長続きするものに興味を持つようになるって僕は思う。
Eric Clapton
落ち着いて、全てを無駄にすることなく、ただの一過性の流行じゃなくてまた聴いてもらえるような曲だって確信を持たないといけなくなるんだ。ミュージシャンにおいて僕が注目する最も重要な点っていうのは聞くことができるかってこと。
Duke Ellington誰が気に入ろうが買おうが気にしないね。
Branford Marsalis
その基準を使うと、モーツアルトはドン・ジョバンニを絶対に書かなかったし、チャーリー・パーカーもスイングミュージック以外のものは絶対に演奏しなかったはずだよ。
自分自身を擁護して、これが僕のしなくてはいけないことなんだって言わないといけない時があるんだよ。急かさないようにビートの前で、或いは音を引きずらないようにビートの後で演奏しようとしたんだ。
Rick Dankoライブの後にマイルズに訊いたんだ。『ねぇマイルズ、僕はあそこで何すればいいの?』ってね。
Miles Davis
すると『皆が早く演奏したら遅く演奏して、皆が遅く演奏したら早くしてくれ』って言ったんだ。人々を止めるために壁を作ることはできても、いずれ音楽ってものはその壁をも越える。
Keith Richards
それが音楽の素晴らしいところだよ。音楽に対しての防衛・防御策ってないんだ。
ジョシュアとジェリコ[砦]の話もあるだろ-砦で徹底的にやっつけたんだよ。たった数個のトランペットでだよ。頭で演奏したらうまく行かないよ。
Stevie Ray Vaughan僕は50年近くずっと音程を訓練してるけど、自分の音程が聴こえなければ演奏もできない。演奏ができなかったら、お金も稼げない。お金が稼げなかったら、家を失うことになる。
Miles Davis
それって連鎖反応みたいなもんだよね。音程を失ったら、セックスもできない、愛し合うこともできない、何にもできない。僕が音程を失ったら、海に向かって歩いて行って、そのまま入水自殺するよ。どのギタリストも特殊な音質を持っている。
Andres Segovia
うまい人たちっていうのは、ニュアンスや音の色ってものを出すために、良い耳、より良い感性、そして音楽に精通した知識を使ってるよ。その人にとって重要であるかどうかに関わらず、楽器の運び方ひとつで、その人が楽器弾きかどうかわかる。
Miles Davis
そして、その人の話し方や立ち居振る舞いでも、あまりにカッコつけだと、いいものは弾けないってわかるよね。どのようの一つの音符を演奏するのかは、その音符が何であるかっていうのと同じくらい重要なんだよ。
Henry Kaiserライブが終わってステージを去る。[終了を告げる]サイレンが鳴って[外では]リムジンが待っている。[その中を]チャーリー・ワッツは自身のドラムセットのところに戻り、自分のドラムスティックの位置を2mmずらした後それをまた見つめて、いい感じなら[やっと]その場を去るんだ。
Keith Richards
ドラムセットはその後すぐに解体されてトラックの荷台に載せられるんだけど、彼の頭の中で自分のスティックが気に入らない状態のままだと帰れないんだよね。アルバムを作っている時って、ある複数の曲の固まりがあって、ちょうどその固まりって新聞の写真を拡大した時みたいなんだ。-全てが点々でできあがってるんだよ!
Tom Hamilton
一つ一つの小さな点々自体、想像もつかないほど全て重要に思えてくる。アルバムが出来上がった今、僕は後ろに下がってズームアウトすることによって、[やっと全体の]写真が見え始めているんだよ。僕は学校で美術を教えてるから、たくさんの画家のタマゴたちと話をするんだけど、こういう質問をするんだ:
Brian Eno
このキャンバスの端が自分のやっていることの終わりだとどうして思うの?
枠を考えてみてよ。どの枠の中で作業をやっているのか? 端っこの周りのちょっとした木の部分だけじゃなくて、自分のいる部屋、自分を照らす[部屋の]明かり、そして自分がいるその時間、その場所。どうやったらデザインを改められるかな?
ミュージシャンにも僕は同じことを言うんだ。自分達がやっていることの内部の詳細に時間をいっぱいかけて、世の中におけるその作品の配置の仕方にあまり時間をかけない。
『配置』によって僕が意味するのは、何もレコード会社への売り込み方とかじゃなくて、文化的な図式にあてはめた時にその作品がどこに行くか、そしてどこにぴったりとはまるかってことなんだ。それ以外に何に通じ合うと思うの?毎度毎度キレイに演奏する気にならないかも知れない。逆に、上品でないものを演奏したいこともあるかも知れなしし、メロディーを無視して何かを演奏したい気分になるかも知れない。不快と感じるようなたくさんの葛藤を引き起こすのが音符かもしれない。でも、そういう風に音が響いて欲しいんだよね。
George Bensonコードが変わる時は、自分も変わるべきだよ。
Joe Pass把握、ウォームアップして、コードと音階も全て頭に入れて、その瞬間に備えるようにはしてるよ。そうすれば考える必要もないし、自分が言いたいことが何かにすぐにたどり着けるからね。
Pat Metheny曲でうまく行けば、正しい選択をしたってことだよ。
Robbie Robertson質問は『何をギターで伝えようとしているのか?』ってこと-『このリンクが弾けるか』とか『君の速度はどんな感じ?』じゃない。
The Edge
それって『楽器で何を言おうとしているの?この曲で何を伝えているの?』ってことだよ。ライターからフランク・ザッパへの質問:
Frank Zappa
音楽にのめり込んでたために、自分の人生で何か顧みなかった部分はある?
フランク・ザッパ[の回答]:
えっと、何をやり損なったかな?乗馬に行かなかったとかウォータースキーに行かなかったとかを後悔しているか?[答えは]いいえだね。山に登りたくもないし、バンジージャンプもしたくない。別にそういうことをやり損なってはいないよ。何かに没頭してる時って、何を[それ以外に]やり損なうことがある?すごい道義的責任感を持った人がいる。[でも]残念ながら、ひどい音楽センスでそれが裏づけされている。
Eric Clapton
その他の人で、素晴らしい音楽能力を持った人もいて、彼らにはわずかな道義的責任感しかない。
この[2つの]良いバランスを取るのって難しいんだよね。それの意味なんて一切考えないね。
Paul Westerberg
ただ単に早くギターをプラグに差し込んで曲作りしようぜって言うよ。豪華な仕出し料理がずらっと並んだコンサートに行ったのを覚えてる。
Miles Davis
僕は『マイルズ、すごいね、メチャクチャたくさんの料理だよ』って言ったんだ。
するとマイルズは『ご飯食べにここに来たんじゃないよ』って答えたんだ。
(ギャリー・バーツ談)時に、物事は偶発の出来事で良くなったりする。
Jeff Beck
でも、その偶発の出来事を計画することはできない。ボブ・ディランがオーストラリアである男の人に酷評されてて、『新曲は古いのと比べて関連性がないね』って言われてたんだ。
Bob Dylan
するとディランは『僕はこうやって曲を書いてるけど-あんたは何をやってるんだい?』とだけ言ったんだ。僕にとって、唯一の危険性はと言うとギターを弾くことにハマり過ぎてるってことだと思う。
Jerry Garcia
音楽が何よりも重要であって、ギターっていうのはただの楽器だからね。意見の違いってのは、自分以外の人間との共同作業にはつきものだよ。
Eddie Van Halen
ただ、音楽は競い合うもんじゃない。[だから]僕と競争競してやろうと思ってる人間とはできるだけ関わりたくないね。音楽を作るために一緒に協力し合いたいんだ。僕のチョップはそんなに早くなかったけど、そのチョップからじゃなくて自分の頭にあるものから学んだだけなんだ。
Les Paul
ずっと前に、しっくりくる物であれば1つの音符でも長続きするってわかったんだけど、恐らく20の音符を持ったヤツにさえも負けないと思うね。気楽にやったらいいけど、やる時はやること。
Woody Guthrieもし床を掃くなら、自分の街にいる誰よりも上手に掃く。
Carlos Santana
そして、ギターを弾くのであれば、メチャクチャのめり込んで、適当なことはしないこと。もしそこから離れることができて、自分が持っているもの、そして自分が思う自身に対するくだらない先入観を捨てれるくらい純粋で、無私無欲で、惜しみなく愛情深く思いやりを持つことができた時点-本当にただの普通の神の子[人間]である本来の自分に本当になれた時点で、本当に僕が音楽に貢献できる状態になるんだ。
John McLaughlin
そして、そこには達成感があるんだ。その時こそが音楽が生まれ始める時なんだよ。一般的な態度としては『それが欲しい、それが今欲しい!』なんだ。
Johnny Winter
でも、正しいやり方をしようとすると本当に何年もかかるし、多くの若いヤツラはそのプロセスに時間をかけたくないし、どこにそれが行っているのか、何をそれが意味するのか、どこから来たのか、そして自身の曲を弾くにあたってどのように利用して使ったらいいのかも見ていない。
どれだけ技術的にうまいか早いか、どれだけ音符を知っているのか、そんなことは重要ではないんだよ。たった2年では絶対にできないんだよ。シンプルに演奏ができて、かつ他のミュージシャンに対して自分は演奏できないと思って萎縮する人以外と共演したいね。でもそうすると、全ミュージシャンの99パーセントはそこから外れることになるんだよ。
Neil Youngバンドを結成したときに生じる化学反応をコンピュータで計算したり算出することはできないね。
Jimmy Page
一緒にやり始めるまでは[どう反応が出るか]誰にもわからないんだよ。僕がすることを皆が皆、気に入ることはない。そしてそれは僕にも納得できることだよ。
Joshua Redman
僕がしたことを全ての人が気に入ったら、恐らく何事の深みも演奏しないだろうね。賢くギターにアプローチすること、そして限界があるのであれば、それを否定しない。
Chet Atkins
自分の制約内で行うこと。自分が他の人よりうまくてきることもあれば、できないこともある。
ポジティブなことにアクセントを置くんだよ。自分の楽器に対して、熟練したプレーヤーになるにはたくさんの規律を必要とする。
Steve Vai
固い意志、[言い換えれば]-自身の深い深い奥底にある物に手を伸ばし、自分でも持っていると気づいていなかった何かや以前だと探す気もなかった強さを引っ張り出してきて、真剣に[それらを]発揮させないといけないんだ。僕はまだ49歳で、まだいろいろやってることの途中にいるんだ。
Paul McCartney
一区切りが付いたとは全然感じないね。まだまだもっといい曲を書くつもりだよ。間違った音符を弾いてしまったときは、その後に弾く音[を変えること]によって正しかったことにしてしまえばいい。
Joe Pass全力って絶対に出ないと思う。
Townes Van Zandt
[だって]全力を尽くすっていうのは、全力を尽くそうとしているプロセスにあるからね。ドラムの講義をロサンゼルスでやったことがあったんだけど、その時、いい子達なんだけど、全員同じ質問をしてくるんだ。『どうやってそんなにうまくなったの?』ってね。
Manu Katche
『わかんない』って答えたんだけどね。本当にわかんないんだよ!直感って言うか、たまたまその日いい調子だったとか、誰にもわかんないよね?
ただ[無心に]弾く。そして自分の色をあふれ出させるんだよ。音楽は僕の使う技術の全てを出し切ってくれた。
Pat Martino
何か楽器の弾き方を学ぼうと[思って]僕が座るときって、技術を極めたいからじゃない。[自分の]アイデアがどんな風に聞こえるかを聴いてみたいからなんだ。僕の演奏の重点はノリで、新しいリズムを見つける度に、たくさんの新曲を書けることに気づいたんだ。
Stone Gossard
新しい形で踊り方、ドラムの叩き方、または体のスイングの仕方を学ぶのは、新しいリフを見つける根本的な方法なんだよ。だって、新しい形で体のスイングの仕方を学んでる時って、違った形で楽器を持ってスイングし始めるんだよ。『そうなんだよね』と[トランペットの]バルブをいじりながら話を続け、『何週間か経って、この娘がこなれてきたら絶対にいいラッパになるよ』ってディジーは言った。
Dizzy Gillespie
『(そのトランペットは)いい音が出るみたいだね』って僕が言うと、小芝居がかった感じで僕を見つめながら『そんな訳ないよ。どれもそんな簡単にいい音は出ないよ』って言ったんだ。(練習には:)かなりの情熱と努力を必要とする、いや、好きだからこそ最終的にかなりの量になるって言ったほうがいいかな。
Chet Atkins
今の所、僕はまだ近道を見つけてなくて、長い間ずっと探してるんだけどね。非ミュージシャンは音楽をやることにワクワクする-1日中でもじっと座って1つの音符をポロンってかき鳴らすだけでも充分満足-そしてその影響に対してもとっても敏感なんだ。
Brian Eno
非ミュージシャンは、本当に聴くってことをたまにするんだ。なぜなら、聴くってことだけが彼らにできることだからね。弦をいじって異なるチューニングに入れたりしながら[曲を]書くんだ。-宇宙に[曲を]開け放つんだよ。
Joni Mitchell
そうして、神様の仕業のような要素を持つ何かを見つけられたら、天からの贈り物みたいなんだよ。ギターを持ったときにそのギターが『お願い、僕を一緒に連れてって!』って言ったら、それがいいギターなんだよ。
Frank Zappa曲を作り始めたらいつも、すぐに全てを忘れようとするんだ。他の曲やアルバムからの残り物を手ぶらにして頭も空っぽにする。
The Edge
[曲作りには]初めてギターを弾いた時のようにアプローチするんだ。さぁどうしよう?[って感じでね]僕の独自の物は僕の頭の中にある。複数の音を聴いて、僕がそれを一緒にできなかったら、僕以外の誰にもできないんだよ。
Jimi Hendrixそもそも問題が1つでもあれば、僕はそれを撮影する。するともうそれは問題じゃない。それは映画なんだ。
Andy Warholレコーディングは未来を象徴する。コンサートホールは過去を象徴する。
Glenn Gould僕にとっては、理想的な視聴者対アーティストの関係って1対0の関係なんだ。
Glenn Gould
僕は『アーティスト』とか『一般[人]』って言葉や階層的な意味合いが好きじゃないんだよ。
アーティストは匿名を許されるべき、つまり市場の予想需要を知らずにいるべきだよ。[そうすれば]もっと意味のあるレベルでコンタクトを取るだろうね。人によっては失敗ってとっても重要な生き残る上での技術なんだよね。
Connor Freff Cochran
世の中を変えるチャンスが幾分あるアーティストレベルで仕事するってことは、自身の仕事に自分が変えられるリスクがあるってことも意味する。
たくさんのヤル気、才能と持続性を持っていて、なおかつ彼/彼女のアイデアは多数の視聴者の入力曲線の最先端にぴったりとくるのに成功していない人ってのは自分の周りに必ずいるよね。努力もするし、性格もいいのに、なかなか物事が具体化しないって言うのかな。
僕はそんな彼等ってどこかで成功しない契約書に署名してしまったんじゃないかって思うんだ。
君はどう?名声が力になるってことに関してだけど、あらゆる力が崩壊していっている今はそうとは言い切れないね。
Connor Freff Cochran
力自体はポジティブでもなければネガティブでもない。有名人の多くはとっても[性格の]いい人たちだよ...でも彼らは以前からそうであった、もしくは今の状態にたどり着く前に酷い失敗を犯してマトモになるように強いられたかのどちらかだよ。
金持ちのイヤなヤツって、結局のところ、単にイヤなヤツなんだよ。名声って[それを得た人間の]世の中のオプションを多少増やしてくれる。でもそれは他の事を制限することにもなる。
Connor Freff Cochran
有名人って面白そうに見えるかも知れないけど、スポットライトに照らされるってのは自身の周りが良く見えないってことも意味するんだ。
今言ったジョークは本当に面白かったのか?デートの相手は僕自身のこと、それとも僕の銀行残高が好きなのか?ジロジロと見られることなく食料品の買出しができた頃っていうのはいつだっけ?とかね。アーティストとしての自分に直面する問題は、必要に迫られた時に、その作品を現在の限界内にとどめておくために、どれだけ[作品]を変える意思があるかっていうその度合いだね。
Connor Freff Cochran
初回作は何の問題もない。何かができあがった。他人が気に入っても気に入らなくても、自分をアーティストとして公言さえできれば、どっちに転がろうとそんなことはどうでもいい。
本当の問題はたくさんの人が気に入った芸術品を最終的に作った場合、つまり『成功』を修めたその日から始まる。否応なしに、[君の名が]ブランドにもなることとなる。 アイデンティティー。同じカテゴリーで2回成功すると、それを自身のおでこに入れ墨で書いたのも同然となる。
[そうすると]商業上の成功を勝手に取り囲むマーケティングの上部構造が、何か新しいことに挑戦することに対してプレッシャーをかけてくるようになる。名声って目標っていうよりは副産物だと考えた方がいい。
Connor Freff Cochran音楽って実は音の偶発的組み合わせで、その組み合わせの感情の共鳴[音]は、聞き手としての聴衆の個人的そして共通の過去に完全に左右されるんだ。
Brian Eno[単に]曲を作ってるんじゃなくて、仮想の映画のサウンドトラックを作っているんだと想像すべきなんだよね。
Brian Eno
映画のサウンドトラックって中心を持つ必要がない-映画そのものが中心-だから、こう思うといつも開放的な考え方になるんだよね。[そう考えると]純粋に雰囲気の音楽を作ることができるんだ。部屋の一室にたくさんの人が集まって一つの曲を作ってるとして、だんだんその曲に皆が没頭してきたら、ちゃんとまだ自分も注意を払ってるよって証明をしたいがためだけに何か言わないとって誰もが考えてる。だって、4時間もずっと角に座って何もしなかったなんて恥ずかしいでしょ。
Brian Eno
[くだらない]義務感で口を挟むだけじゃなくて、何か貢献できるものがあると純粋に感じる方が断然重要だよ。重要なつながりを切る。
Brian Eno
ほとんどの音楽作品って、全てを一緒にしておくドラムトラックとか単調音といった何か中心があって、そこをベースにしてるから、そのつながりを切るってのはとっても面白いことだと思う。音楽からその要素を取り出してみて何が起こるか見てみるんだ。自分のアイデアに恥ずかしがることなんてないよ。多くのミュージシャンなんて、誰か他のミュージシャンに似た音だってことで称賛されてるんだから。
Brian Eno
何か面白いって思うことをやってみても、他のひとはそうかなって顔をしてる。そこで、古いジェームス・ブラウンのリフをかけてみると皆『うわっ!まさにこれだよね!』って言うんだよね。
多くの場合、ミュージシャンってどこかで聞いたような音を作るように促される。[プロデューサーとして]僕がやっているのは、彼らがそうでないときにそのポイントで仕向けるってことなんだ。昔はよく言われた、完全に技術オンチのミュージシャンと芸術オンチのエンジニアを仲介し通訳する人間としてのプロデューサーってのはもういないよ。だって、今のほとんどのミュージシャンは3つの役割全てをこなすからね。
Brian Enoスタジオって可能性の絶対迷路だよ-何百万っていう順列でいろいろと何でもできるから、レコードを作るのに時間がかかるんだよね。
Brian Eno
[ここでできる]最も有用な事って、[作品に]取り掛かる前にそんなオプションを先に処分しておく事なんだ。普通じゃない結果がほしければ、早く安く仕事をするってのが僕のモットー。だって、そうすれば今までに誰も行ったことのないところに到達できる可能性が増えるからね。
Brian Eno
ほとんどいつもそうなんだけど、たくさんお金を使うと普通のものを作ってしまうんだよね。スゴ腕のエンジニアがやるみたいに、スタジオを音の顕微鏡みたいに使いたかったんだ。
Brian Eno段々とあまり出来上がっていない作品を持ってスタジオに来るように僕はなって、最終的には何も持たずに来るようになったんだ。ただ単にそのモノである『スタジオ』を楽器としてとりかかる。
Brian Eno
このプロセス以外に何もないよ-レコーディングって呼ばれるこのプロセスは、クリエイティブなプロセスなんだ。景色の前にキャンバスがあるわけではなくて、ここで今[まさに]その景色を作っていくんだ。自身の作品を検閲しないアーティストにはピカソ、マイルズ・デービス、プリンスがいる。彼等っていうのは、とにかく[世の中に作品を]出してみて、自身での批判的な検閲ってものは皆無に近いくらい何もしない。『市場が決めてくれ。世間が答えを出してくれ』ってね。この判断をするには最適な人物ではないかもしれないのにね。
Brian Eno
[でも、]これってある種の謙遜で、『俺ってすんごい才能あるよね』って言って傲慢なのと、『[作品の良し悪しを]判断するのは僕じゃないので』って言って謙遜しているのが混じり合ってるんだ。読み手が読む詩って、書き手が書いた詩よりいい可能性がある。
Brian Eno
自分がしていたと思っていたものより良いものになるものを作る努力をするんだ。コンピュータシーケンサーの大きなメリットって技術の問題をなくして判断の問題にしてしまうこと。
Brian Eno
キューベースやフォトショップを使って、実際に誰もが何でもできて、ラジオで流れてるようなものや、雑誌で見るようなものを作ることができる。
そうなると、どんな人間でもコンピュータの前に数日間座らされれば何でも作れるから、問題はできるかできないかではない。そうすると『これだけいろいろなことができるけど、どのやり方を使うか?』っていうのが問題になってくるんだよ。聴くっていう行為は、実は作曲行為なんだよ。
John Cageいつもやっていることをやってみてごらんよ、ただし、今回は心を込めてやるんだ。
Brian Eno
プロセスを認める。アーティストとして一生過ごしていくことを覚悟するんだよ。何かに対して、知っているようなでも同時にちょっと変わった風に感じるっていうカスプが僕はずっと好きなんだ。
Brian Eno
すごく変わってるからって、いきなり襲いかかってくることはない。でも、その反面、見覚えのあるそれに手を触れることはできない。それってとってもいい気持ちなんだよ。子供に話すとき、職場の同僚に話すとき、自分の彼氏・彼女に話すとき、近所のお店で女の人に話すとき、全て多少違った話し方をする。
Brian Eno
こういう変化を出すときって、自分達を聞いている世界の方からの理解を練習していて、なおかつ、このある会話が起こってほしい世界における自身の考えを投影しているんだよね。
考えてみると、これって人類が人生をかけて練習、リハーサル、そして上達させていった、ものすごくて複雑な才能なんだよ。音楽を聴いたり、本を読んだり、映画を見たり、織物に感嘆したり、そういう時に価値のある経験をしたと[心の底から]感じると思わない?
Brian Eno
そしてそう感じる時って、その物体からではなかったら、その気持ちはどこから沸いてくるの?「文化」って僕達が別段しなくていいもの全てなんだ。
Brian Eno
文化って人がしなくてはならないことに付け加える無償の様式的な過剰[行為]でできている。
人は食べなければ生きていけないけど、別に作ったカレーをわざわざ銀箔で飾り付ける必要はない。また、体も動かさないとダメだけど、別に踊る必要はない。
文化は人間にとって生物学的動因だよ。生存問題全てを対処した後の終わりに付け足すだけの何かではなくて、いつもやり続ける事柄なんだ。音楽[自体]よりも背景を多く皆聴いてるんだよね。だから、僕の仕事は主に背景作りって言ってもいいくらい。
Brian Eno
僕の芸術とはトランペットの先から出てくる音であったり、レコード上に存在するだけものではなくて、皆が想像する僕や僕の人生、カリスマ性に密接につながるより大きな経験なんだよね。
「音楽」、つまり音のカケラなんて、全体の経験からするととっても小さな物にしかなりえなかったりする。
背景、つまり-パッケージ、伝え方、陶酔感、回し方、架空の話-[といったモノ]の組み立て自体が芸術になる可能性があるんだよ。ちょうど、香水みたいだよね...。マイルズ・デービスの音楽を聴くときに、耳に入る音楽のどれだけが音楽で、どれだけが背景かわかる?
Brian Eno
背景ってレコードの溝に実際に刻み込まれていない物、全てだよ。そこには曲の聴き方に影響するような、周りの人が吹き込むマイルズ・デービスはこんなにすごいんだっていう概念も含まれるよ。彼がどれだけ男前で印象的な人であったかとか、少数派ロマンチストのメンバーであったとか、チャーリー・パーカーと共演したことがあるとか、世代を超えて愛されているとか、複数の依存症を経験したとか、シシリー・タイソンと結婚したとか、服のセンスがいいとか、ジャン・リュック・ゴダールが彼を気に入ってたとか、暗い色の服をよく着ていてそれがとっても似合っていたとか、彼自身はあまり自分の作品の話はしなかったとか[、そういう情報を聞かなかったことにして彼の音楽を聴くんだ]。
当たり前のことだけど、そういう情報全てが彼の音楽を聴くときに影響するよね、言い換えれば、もし彼がオスロ出身のデブ暖房機器技師でも同じように感じることはあるかな?
音楽を聴くときって、音楽周辺にあるもの全てにも「聴く」ってことをしてると思わない?[プロデュースをするにあたって]どのようにやるかっていうと、そうされるべきであったけど、まだ今までにされていないことを見つけ出すやり方。それって、時には誰かがお茶を入れることを意味するし、また時には誰かが曲自体を完全に書き直すことを意味するんだ。
Brian Eno音楽ってちょっとありふれた業界になってきていて、今は[音楽を]やってる人もたくさんいるよね。あんまりワクワクするような状態じゃなくなってきていて、どちらかって言うと特殊化されてきているんだよ。僕は出来上がった曲を持参してスタジオに入ってただそれを弾くよりは、[あぁでもない、こうでもないって作る]その経験に直に集中したいんだ。
Brian Eno子供って何かのフリをしたり、他の状況に自分がいる時を想像したりして物事を学ぶ。そしてその想像[力]って文化の根底にあるものだよね。
Brian Eno
[でも]16とか18歳になった途端、自分が何をしているのかわかってる歳になったはずだからって急にそれを止めてしまわなければいけないかのような無茶な憶測が[世の中には]ある。でも、僕が面白いなって思う人たちって、そんな遊び[心]を今もずっと[持ち]続けている人たちなんだよね。何をしてもいいっていう完全に自由な状態になるっていうのは意外と難しくて、大変なスランプの状況に陥ってしまうこともある。
Brian Eno
時間がスケジュール化されていれば『さて今日は何をしよう?』なんて思うことはない。レコードプロデューサーって、臆病者にとっては最高の職業だよ。プロデューサーって称賛されることもあるけど、非難されるにはよっぽど酷い仕事をしないとダメなんだよ。
Brian Eno歌手ってアラビア人みたいなもんだよ。彼らは掃除機を嫌うんだけど、ここでいう掃除機って[歌手の場合]『自分が歌っていない時』って定義されるね。
Brian Eno料理ってラジオを聴く一つの手段だよ。
Brian Enoそのドラム[部分]を[注意して]聴いてみて-誰かが刑務所の牢屋の鉄格子をガンガン叩いてるみたいだろ。
Brian Eno最近レコードを作るのにかける時間ってみっともないくらいだね。でも僕はケチで手早く終わらせるので有名で、皆が僕と仕事をしたがる理由はここにあると思う。だって僕は『これして、これでいいよ、なんとかなるようにするよ』って言うからさ。
Brian Eno
全てのオプションを探索するのは問題じゃない。そのうちのどれか一つを完成させればいいんだよ。近代音楽において重要なのは、言葉やメロディではなくてその他の部分-質感、雰囲気、参考作品やその作品との関連性なんかを書き留められるかということ。
Brian Eno僕は何かを意味しているのかしていないのかわからないような意味のある事とない事の間の境界線にある言葉[歌詞]を書きたいんだ。
Brian Eno自身で[作品を]検閲する時って、悪いトコより良いトコを消しがちなんだよね。
Brian Eno強い意見って他の人にはとっても役に立つんだよ。
Brian Eno[レコードを作ることに関して]僕達は小説じゃなくて雑誌を作っているんだよ。
Brian Eno僕って[曲を]プロデュースしている時はいつもブツブツ言ってるんだけど、それって物事を変えられることに不満を持つ人々に対してなんだよ。
Brian Eno運って[その瞬間に]準備ができている状態のことだ[と思うよ]。
Brian Eno本当の理想は自身の理解を超えた歌詞を書くことだよね。
Brian Eno
そういう歌詞ってこれこそが歌って欲しい内容なんだよって感じるんだよ。でもなぜ[そう感じる]かはわからないんだ。最近、あるインタビューの最中に誰かが『言葉って何を意味する?』って言ったんだ。僕は[すかさず]『コードって何を意味する?』って訊き返したんだ。
Brian Eno僕がポップミュージックをずっと好きな理由って、あり得ない感情風景を作り出して、そこに人を誘い出して踊らせる力があるっていうのがまさにそう。
Brian Enoボノは大まかなミックスを作った後、それから数日間曲を聴いてみて考えて、言葉や歌詞の一行や一節を変えて、言い換えたり歌い直したりして、また同じプロセスを繰り返す。こんな風にして、彼は[曲に対して]パフォーマンス、姿勢・態度、人格を磨き上げるんだ。どんな人物がその曲を歌っていて、どんな世界にその人物が住んでいるのかを[そうやって]見つけるんだよ。
Brian Enoでも、(恐らくほとんどのレコードにおいて)ネックは歌詞書きだよ。なぜかって?だって、作詞家は音楽に重点を置いてそれでどこかを指すっていう本当に限定的な仕事だと思い込んでいる。
Brian Eno
言葉ってとっても鋭い物なんだよ。自分で何がいらないかっていうのはわかるし、今までに不要な共鳴や倍音と響いていない文化的な空間を見つけるのがレコードを作る際の多数のプロセスの課題となる。
Brian Eno
この空間とは、今までに誰も見つけたことのない新しい物かも知れないし、不意に新鮮に響きはじめる古い物かも知れない。『ハリウッド化』[当たりやすい作品の製作]これが物事を一様かつ合理的、そして全方向から同じように光を当てて、注意を払ってバランスが取られ、周知の公式に対しては全てスタジオで試験され、複数の委員会に口利きしてもらって、最後の最後には誇らしげに注目されないものができあがる[つまらない]プロセスだよ。
Brian Enoレコードは今自分がどこにいるか、或いは無数にある場所の中で自分がいるであろう場所を表す必要がある?
Brian Enoガレージで録音されたレコードを本当に作ってるのか、それともガレージで作られたレコードの雰囲気を思い起こさせるレコードを作っているのか?(映画監督がドキュメンタリの差し迫った感じを表す為に手持ち撮影のカメラを使用するのと同じ要領)
Brian Eno
レコードを聴いてる人が『このレコードはボロく聞こえるね』って言うのと『意図的にボロく聞こえるようにしたの?』って言うのとでは何か違いがある?サイケデリア、グラム、R&Bとソウル。これらのポップミュージック初期時代の特徴って完全なものの探求じゃなくて、異様な情熱、低予算、突飛な技術、質の悪い装置と自由奔放さだよね。
Brian Eno[U2のAchtung Babyをプロデュースしたことに関して]このアルバムのキーワードはtrashy[安っぽい]、throwaway[使い捨て]、dark[暗い]、sexy[せセクシー]とindustrial[産業](良い)で、earnest[熱心]、polite[丁寧]、sweet[優しい]、righteous[高潔]、rockist[ロックの最上級]とlinear[直線状](悪い)だね。
Brian Eno
歌がどこかへ旅立たせてくれたり、ハイファイ装置が壊れてるのかとでも思わせてくれるような出来だったら上等で、もしU2のレコーディングスタジオを思わせたようなら良くなかったね。“イケてる”人たちってのは端っこの方にいて、カッコ悪い人たちの失敗や成功を観察している(そして、そんな彼らについて書くんだ)。
Brian Eno古いアイデアに時間をかければかけるほど、そこにもっとエネルギーを費やす。そして、それがどんどん固まれば固まるほど、もっと新しいアイデアを考慮しなくなる。
Brian Enoビジネスにおいて誰かと取り引きする時、ある種の傲慢さが必要だよ。自分の作品に対して他人の判断は最終的に信用できないから、自分は[常に]正しいと思う必要がある。
Brian Eno
もし自分の判断がはっきりとわからないのであれば、他人の判断も自分にはわけのわからないものになるよ。どこかで埃まみれの文字が刻まれた石板を見つけて、埃をこすり落としながらなんて書いてあるのかを見てみる。こっちに一文字、あっちに一文字とね。そしてその二つの文字の間には何が書いてるのか想像するのかのごとく書くんだよ。
Brian Eno
[そして、そこで]唯一気をつけないといけない衝動っていうのは、短絡な意味に陥ってしまわないことだよ。音楽作品において一番重要な事といえば、人々が何かを探求し始めるポイントに誘い出すことなんだよね。
Brian Eno
仮に音楽がそれをしなかったら、[音楽って]何の役割もない。ただ単にそこにあるからと存在するだけ、何を言わんとしているかをはっきりと断言、或いは不明瞭過ぎる場合なんて、僕に言わせればそれは失敗作だよ。
そこの微妙な線に腰をかけるのってとっても面白いよ。歌詞の重要性って、まさに何を言っているのかではなくて、何かを伝えようとしていると人に信じ込ませる所にある。
Brian Eno
僕が思いつくいい歌詞ってのは全部、その歌詞について僕に質問してくれても何を言ってるのかわからない、でも何か感情に訴えるものがあるんだ。
[そういう歌詞って]聞き手が自身の[解釈や]意味を投影できるスペースを設けているんだよね。音楽の魅力において、前後関係の削除が重要なポイントの一つだね。
Brian Eno
予想もしなかった部分から何かが出てくる、或いは何かが現れてそれには何かある種の不思議さがあるといった具合に、意図的に前後関係を分解したり変えるんだ。今までに同時には聴いたことがない上に一風変わったモノを生み出すような一緒に混ぜ合わされる成分があるんだよ。音楽を作る時、人は哲学者になっているんだよね。意識的にも無意識にもできる、とにかく音楽を作っているんだよ。
John Cageレコーディングスタジオで電子媒体を扱っていると、判断力が重要になって、技術はあまり重要な問題じゃなくなってくるんだよね。
Brian Eno高額なスタジオ代からくるパニック影響には注意したほうがいいね。
Brian Eno
人によっては、益々結果に執着するようになって、どこにも行きつかないような[無駄とも思える]実験的な活動に徐々に携わらなくなる。
結果として、今までに試行・実験済みの技術、つまり無難な道に重点を絞る人もいるんだ。再現や重複って絶対に存在しない。
Brian Eno
人の心情に関して言えば、技術上の観念からして何かが完全に同じあっても、同じことが二度と起こることはない。人の認識は常に変化している。いつも同じ場所にあることはないんだよ。ミュージシャンやその他のアーティストも少なくとも2つのタイプの思想と常に関わっている。1つは美学的思想(何が心地よく聴こえるか?どのタイプの音楽をやるのか?)そしてもう一つはその努力に対して報いる、もしくは報わない[報酬に関する営利・]経済的思想。
Brian Eno
気に入らない物ができあがってきた時、今あるシステムを他の形になるように押し込めるよりは、代わりとなるシステムを作り出すことにエネルギーを使った方がいいよね。
それって非営利目的の音楽に[自分で]発表の場を設るとか、自分独自の微分音スケールをデザインするとか、何でもいいんだよ。何かの構造を理解すればするほど、その中の微小な動きに感動し驚かされる。その意味では、可能性は無限だよね。
Brian Eno何か作品を世に出すときって、ある程度の期待を持って送り出すんだよ。
Brian Eno
(エノ氏はラップグループのデラソウルの最新アルバムを自身のポケットから取り出した。)
このグループがこのアルバムをリリースした時、どこが聴き所かっていうのをはっきりとさせたパッケージで出したんだ。これはマーラーやスタン・ケントンを聴くのと同じようには聴けないからね。芸術の世界にいる人々って一番大きくてわかりやすいターゲットを狙って、ど真ん中に矢を当てたがる。
Brian Eno
でも、どの人もそこを狙ってるもんだから、もちろんそこに当てるのは難しくてお金もかかる。
僕の場合、まず矢を打ってみて、その周りにターゲットを描くんだ。すると最終的に自分にしっくりする場所を作ることになるんだよね。リスクの一つに、人が意見を述べることを極端に嫌がるっていうのがある。
Brian Eno
芸術の世界、特に今だと絵画の世界で、自分が間違ってるかも知れないと思って、何かを好きじゃないって言うことを人々が怖がるんだよね。ベースギターは出てくる箇所は少ないけど、でもすごく重要でもあるから僕は大好きだな。
Brian Eno音楽とは聴けるモノではなく、録音できるモノに段々と範囲が限定されていっている。
Brian Eno生きていると、たくさんの[機会や]可能性に直面することがよくある。そこで人ができる事と言えば、簡単に決断できるものを選んで、後からその選択を自分に合うように変えるって言うのが最善だろうね。[そうすると]びっくりするような結果がついてくる面白いところへ行くこととなるよ。
Brian Enoクラッシック音楽って、純粋性とその辺の音との違いにすごく重点を置かれてるよね-[クラッシック音楽の]何がそんなに音楽的であるかというと、故意にこの世に存在しないような音になっているんだよ。
Brian Eno
ポップ音楽はその逆に流れてて、世界をもっともっと吸収していってるんだ。まずそこに入るべきものを人工的に創作して、世界を逆に創作することもできる。
Brian Eno
その世界にはどんな音楽があるかを考えた後、音楽を作ると、その音楽の周りに勝手に世界ができあがるんだ。アーティストになるには2種類の方法がある。一つは、ランディ・ニューマンやジョニー・ミッチェルのように、ある一つの道を探求するやり方。彼らっていうのは、ある[得意]分野があって、そこを事細かく極めていくんだ。『これは僕[私]の言語で、今からもっとうまく喋れるようになるよ』って言ってるみたいなもんだよ。
Brian Eno
僕はでもその手のアーティストじゃないんだよ。人が喋れるその他の言語に関して、他の話し方を提案する時に本当にワクワクするのが僕なんだ。自分で納得するほど、アイデアがこうでないとって一旦浮かんできたら、それをずっと酷使して使い続けるのは絶対イヤ![その手法を]使うのをやめるっていう意味ではなくて、専属的に‘僕のモノ’ってしてしまいたくないんだ。レコーディングスタジオをただのツールとしてではなく、概念的思考の研究所だと考えてごらんよ。
Brian Enoジョン・ケージは雑音ってものはこの世に存在しなくて、今までに[面白いと思って]鑑賞したことのない音楽であるだけなんだと人々に気づかせてくれたんだ。
Brian Eno作曲とは自分の哲学を形にして芸術って呼ぶ手段の1つだよ。
Brian Eno[創作作業を]やり続ける醍醐味って言うのは毎度毎度素晴らしい作品を作るっていうのではなくて、[素晴らしい作品を]作れるその時が来るまでいつでも準備OKの状態でいることなんだよ。
Brian Eno
『今日はいい考えがちっとも浮かばないから、ちょっとクスリでも吸ってみるか』なんて言う必要は一切ない。たくさんの物がお互いに衝突し始めるその瞬間に対して油断せずに備えるんだよ。
モノづくりには多くの要素が使用されるんだよ。[そしてそんな要素とは]ちょっと面白いなと思うような突然の技術的な事柄に関する考えだったり、気分やムード、天気や友達との会話だったりする。そんないろいろな事が同時に起こる-でもその瞬間は長く続かない。これって軌道上の物と同じでまた動き去ってしまうんだよ。人は知識を増やすと同時に失ってもいるんだよ。学習をすると同時に、何かを捨て去ってるんだ。新しい確信は新しい疑念でもあるんだよ。
Brian Enoレコーディングスタジオでできる独特な事[の1つ]に、エコーがある。当たり前だけど、エコーってどこかの場所を連想させるよね。でも『地[球]上』の[実際の]エコーって、存在できうる何物にも全然似てないんだよ。で、そんなエコーだけど、僕が使う時は70秒の[エコー]反響にするんだ。自然界にも人工でもそんな[長い]ものは[実際には]存在しなくて、とっても長い反響を持つ[ことで有名な]タージマハルでさえたったの12秒。それでも[その70秒の[音の]減衰]は、ある種の空間を人に連想させる。それって[かなりの]脚色が付けられてるって事なんだけど、ちょうどフェリーニ氏が[自身の映画の中で]女性の胸を大きく描くのと同じ要領なんだよね。
Brian Enoフェリーニの映画と自然主義に何のつながりがあるか?彼は映画の中で記憶のあいまいさを取り扱っている。それって自然主義からすると逆行しているよね。つまり物事を架空かつ原型的な状態に持ち上げているんだよ。もっと夢みたいな状態にしておかないと。僕がすごく好きなのは[夢みたいにぼんやりした]その感じなんだ。
Brian Eno音楽を手がける際に、ある一定の材料を入れたら、急に思いもよらなかった形に反応する。その反応に敏感であれば、そこから[創作活動の]作業を始める。[逆に]鈍感であれば、その反応結果を消し去ろうとするだろう。
Brian Eno
多くの人に言えることだけど、出来上がった物はこうでないとっていう固定観念があって、脱線することを認めない。そして何度も何度も自分の気に入ったところに行くまで音楽を型にはめようとする。こうすると結果として大抵、面白くもなんともない音楽-或いは面白くもなんともない何でもないものになっちゃうんだよね。アイデアを客観視するとすぐに、自分の頭の中で浮かんでただけの時には明確ではなかった面が見えてくるんだ。
Brian Eno自分自身の過去を想うことの問題点なんだけど、[自身の]起源を忘れて過去の自分に対して無駄な畏敬の念を抱き始めることなんだよ。
Brian Eno自分に馴染みのプロジェクトを推し進める熱意は僕にはないな。
Brian Enoファンって保守主義になっちゃう大きな力になりうるんだよね。
Brian Enoいろんな事柄[や可能性]について話をするのが僕は好きだね。とっても興味深いと思うんだよ。
Brian Eno文化っていうのは本能からかけ離れた人間行動の全てだね。ガーデニング、料理、様々なファッション、建築物等、僕達がなす事やる事の全ては文化なんだよ。
Brian Eno
特に音楽についてはそうなんだけど、アーティストがよくやる(しない?)ことは世界の文化に目を向けるってこと。音楽は何かを表現するのではなくて、(多くの場合)他の音楽のことなんだよ。最初からうまく出来すぎることほど厄介なことはないね。
Pablo Picassoまずグチャグチャの状態に自分を落としいれることで開始して、そこから抜け出せるかを見てみるんだ。
Brian Eno
最初の第一歩が素晴らし過ぎたら、それはそれで問題でさ。その後が続かなくて、[その素晴らしいのを]台無しにするのが怖いんだ。
だからグチャグチャの状態から始めるってのはいいんだよ-[それでもって]僕は結構[そのグチャグチャの状態から抜け出すのが]うまいんだよね。もう一回やってみて、また失敗する。でも今回は前よりもうまく失敗するんだ。
Samuel Becket僕を白紙の状態にしてくれるような物を作りたいな。自分の中に真っ白な[新しい]気持ちを作り直してくれるような[何かを]ね。
Brian Eno自分の今までの成功を再現することはできないよ。だって、その[結果や]影響を生む作業の一環には偶発の出来事を起こすってことが必要となるからね。
Brian Eno僕が[音楽の]速度を変えるのが好きなのは、アッパーハーモニックを聞き取れる範囲に持ってきてその周波数を半減させて、僕が気に入っている音の音色を変えるからなんだ。
Brian Eno音楽に沈黙がないっていうのは、絵画に白も黒もないってのと同じだ。
Brian Enoどのファッションにおいても、誰かに成りすますっていうことをしているのかもね。ある種、別世界に住んでいるって言うのかな。
Brian Eno
僕が服装を選ぶ時って、事実上ロールプレイごっこをしているんだ。そして、自分自身と自分以外の世界の皆と何らかのゲームをして遊んでいる。何かの模擬実験装置に入っていくような感じでね。
そこで僕は『このタイプのメガネをかける人に成りすますのってどんな感じだろう?』って言ってるんだ。人間って、ばらした秘訣にいつまでもしがみついてはいない。
Stewart Brand
次へと行動を起こし、結果として作品が人を驚かすようなものとなり続ける。
このアプローチは、飽き易いアーティストにはいいのかも知れないね。作り手として、聞き手の必要とするものの2倍くらいを入れてしまう傾向にあるんだ。これって現在の製作方法からくる兆候だと思う。その昔、レコードを使ってた時代にはこんな問題はなかったよ。
Brian Eno
今ある[レコーディング]施設って、穴という穴に全てプラグを差し込みたくなる-結果、もっともっと[プラグを]差し込んでしまう。でも、聞き手としてはそんなに多くのものを望んではいない...もっとシンプルで、オープンで、スローな物を受け入れることができるんだよね。
今までに、作品を一旦作ったけど、最終的に半分くらいまで速度を落として仕上げたことがよくあったよ。周知の事実というか、ある意味、誰もがどうなってるかわかる内容って、いつも面白くないんだよね。
Brian Eno
音楽において僕がいつも好きな特質と言えば、ワケわかんない感っていうのかな...『あ~、なんでかわかんないけど、これが好き』[っていう感じ]。
人が作曲家になる理由の一つに、自分をわくわくさせるようなものを作り直したいっていうのがあると思うんだ。自分自身でも『うわ~、これどっから出てきた?』って思えるような何かをしたいんだよね。音楽を書くにあたって『集中』っていう行為自体が、[音楽を書くのを]とっても難しくさせるよね。[音楽の]アイデアって普通集中していない、ある意味『オープン』の状態の時に浮かぶんだよ。
Brian Eno組み合わされた音を変えたり修正したりするための簡単な装置として昔から使われているスタジオの個々のユニットは、それ自体を楽器として使用されることも可能だよね。
Brian Enoスタジオのドアに『このスタジオは楽器の一種である』って看板がかかってれば、[ミュージシャン達は]レコーディング作業に対して、全然違ったアプローチを取るだろうね。
Brian Enoロックミュージシャンの中には、音楽について語ることを本当に嫌う人もいるみたいだね - 音楽について話をすると、魔法が消えてしまうとかそんな風に思ってるみたいだけど、僕は同意しないな。
Brian Eno
何かをするにあたって自問自答できる[自信が自分にある]のであれば、するべきだと僕は思う。
何であれ[揺らぎない]充分な強さを持つ物は、どれだけの分析でも耐えられるはずだよ。歌の形ができ次第、僕は紙にその歌の構想を出して、言葉が欲しい場所全部を描きだして、ざっと[曲を]流してみて、頭に浮かぶもの何でもただ歌ってみるんだ。 で、好きなフレーズに出くわす度に、その紙に描いた構想のそれぞれの場所に書き込む。
Brian Eno
すると徐々に、半分あやふやな言葉の断片で構成されたある意味“奇跡”の文書にたどり着く - 後はそれぞれの歌詞が何に関してかを考えて再構成して、空白部分を埋める作業をやるだけ。これって実は自動[歌詞]執筆[みたいなもん]なんだよ。僕の好きな曲は全部、理解に苦しむような歌詞がついてるものばかりだね。
Brian Eno
なんでそんな曲が好きかって言うと、何かを伝えようとしているように思えるけど、明確ではないんだよ。特別なメッセージはなくても、歌にははっきりとした感情を与えるんだ。僕の奥さんの家族はとっても物静かなんだけど、その皆と一緒にいた時にジェスチャーゲームを始めたんだ。すると10分もしないうちに皆は何々のテーマだの言って振り付きで歌いだしたんだよ。
Brian Eno
[ゲームをすることによって]『自分の枠を出て無礼講』っていう状況になったんだろうね。それって悪い人生観じゃないねって僕はその時思ったんだ。僕がやることの一つに、文章の真ん中に複数の切れ目を入れてみたりして、言語を切り刻むってのがあるんだ。
Brian Eno
いくつかの言葉--空白--また他の言葉--また他の言葉を6つ--空白--他の言葉2つ、といった感じでね。
だから言語が本当にバラバラになっちゃうんだよ。英語を母国語としない人たちは、言葉[英語]をまた妙で未知なものにしてしまうといった点で、英語を母国語とする人、つまりネイティブたちよりもずっと面白い[言葉の]使い方をよくするよね。
Brian Eno
自分も英語のネイティブで、他のネイティブが話す英語に聞き慣れてたら、[会話を耳にしても]特になんとも思わないけど、急に外国人が自分の母国語を話すのを耳にした時、 強弱が変わったり、関係が変わったりと言葉のバランスが変わるんだよ。すると、また言語をよみがえらせて、新しい意味を生み出し続けるんだよ。言語は未だに14世紀くらいのままなんだよね。僕は音楽も言語も好きだし、言語の使い方も好き。だけど、なんらかのオリジナルな形でやりたいんだ。言葉を扱う人たちって言うのは大変な仕事だよね。それ[言葉]が音楽の鋭角になる。つまり、音楽が他にどんな事をしてても、言葉[歌詞]があると多くのリスナー[聞き手]にとっての音楽の焦点になってしまう。そして、言葉[歌詞]で[音楽をも]台無しにすることもある。言葉[歌詞]がまずいと、全体を完全につぶしてしまうこともあり得るんだよね。
Brian Enoディレクターとして俳優に指示を出す際、『じゃ、腕をこんな感じで相手の方に動かして』って指示することもできれば、『自分の役柄を想像して役に入ってみて。ここでは相手にどうすると思う?』って訊く事もできる。僕の言わんとしてる事がわかるかな?作曲の過程で一歩さがるような感じなんだけど。物の明確な正体を明かしてしまうのではなくて、その正体を作り出る小さな種[ヒント]を明かすんだ。[そうすれば]いちいち実際に細かく書かなくてもいいんだよ。
Brian Eno膨大な長さの音楽史において、耳に馴染みのある楽器の組み合わせ、例えば、ジャズピアノの音、ライドシンバルなんかは、聴いてすぐにどのようにその音楽が作られたかの想像がなんとなしにつく。その中で、僕はそれらを全く異質な世界であり、その音楽に属したことのないような世界である電子的風景に当てはめてみるんだ。
Brian Eno僕の友達は、近代音楽って宇宙旅行の一種だよっ言うんだ。なんでかって言うと、音楽で宇宙空間のような所へ、つまり、新しい妙な音やあり得ない景色を見ることができるんだよ。近代の作曲家は・・・自然には実際に存在しないような心理音響空間を生み出している。なので、外界への一種の宇宙旅行なんだよね。もちろん逆方向の内側へ、つまり自分達の魂の中にある新しく奇妙な精神的空間、言わば精神世界への旅行もあるよね。
Brian Eno僕の作るものは何かの始まりとなり、強い土壌になると信じたいんだよ。そして、僕よりも少なくともユーザー(聞き手)の心に残ると願いたいんだよね。僕の手元を離れても、[どんどん]成長していく種を植えたいんだよ。[僕の作った]音楽が僕が去った後は[それ以上変わらず]そのままであると考えるのであれば、なんで[世の中に]公開する必要がある?音楽が成長し、作者なしでも面白い人生を送ることを祈って公開するんじゃないのかな。[僕にとっては]子供を持つ理由と同じだよね。
Brian Eno何かを実行する時はいつも計画を立てたい性格なもんだから、一旦実行に移されたら、僕の介入はほんの少しか一切なしでも音楽が作られるような状況やシステムに惹かれるんだよね。つまり、プランナーやプログラマーの役割をした後、[実行後の]結果に対する聴衆にまわる傾向にあるんだ。
Brian Eno果物って熟すまで時間がかかるもんだけど、急に[熟しすぎてボトッと]落ちてしまうのも事実なんだ。
proverb文化ってものをすばらしく大きな庭と考えるなら、やっぱりそのコンポスト[肥やし]もなきゃダメだよ。多くの人が劇的でもなければ先鋭的でもなく、ましてや特に面白いとも思えないことをしていて、言わば消化過程にあるんだよね。たくさんの細々した物が組み合わせられたり試されてるんだ。同じように音楽を考えてみると、二度と聴きたくないって思える物がたくさん[世の中には]あるって認めたほうが考えやすいんだよ。[物事とは全て]起きては過ぎ行き、何か他の物が成長するコンポスト[肥やし]になるんだよ。
Brian Eno前衛音楽って研究用みたいなもんだよ。誰かがやってくれてありがたいけど、別に強いて聴きたいとも思わないような音楽でさ。僕からすると、北極に人類が到達して嬉しい[けど、別にそれ以上の感想はない]と思うのと似てるよね。北極が存在するとわかったことで、この[地球という]惑星に対する僕の知識を広げてくれたけど、かと言って北極に住みたくもないし、実際に行ってみたくもない。でも、それは境界条件なんだよ。
Brian Eno聴いてる時に押しつけがましいの[音楽]は好きじゃないね。自由に聴くという行為をさせてくれる音楽が僕は好きなんだ。
John Cage僕の目に映る物全ては、まだ僕が記憶していないものばかりなんだよ。
John Cageコンサートで男の子とその子の父親らしき人が僕の前に座ったことがあって、ストラビンスキー氏が指揮をしてたんだけど、その男の子が父親に向かって『お父さん、あれ変だよ、間違ってるよね』って言ったんだよ([苦]笑) [男の子が以前に聴いた曲の]記憶が邪魔をして聴けなかったんだよ。
John Cageものづくりには2種類のやり方があって、一つは難しく、あと一つは簡単な方法。難しい方は、個人のアーティストが、言わば自分の領域を築いていくやり方で、一方、簡単な方法と言えば、慎みを持って昔からのやり方で、大きな開発・革新をするでもなく、1日に200個の部品を作るやり方なんだよ。僕がゴスペル音楽を好きな理由の一つに、歌っている人たちが気難しいアーティスト面[ヅラ]をするでもなく、[後者と]同じような謙虚さを感じることがあげられるんだよね。民俗芸能には良く見られるような新鮮さと感動がそこにはあってね。 自らの声域の極限[とは無意識であるの]と同様に、たくさんの全く無意識な要素で作られたモノをやっているんだよ。
Brian Eno音によっては、いろんな意図を背負わされ過ぎてその音の[本当の]意図をこちらが聴きわけられない物もある。歌詞がそのいい例で、不可解でも何でもない物に、いつも何か余計な意図をくっつけるんだよ。
Brian Eno面白くないと思った音は未だに[聴いたことが]ないけど、あまりにも音楽っぽい物はあまり好きじゃないな。多分、[あまりに音楽っぽいと]音楽が僕をコントロールしようとしているように思えてそれが苦手なんだと思う。
John Cageありがちな情報って何度か繰り返し聴いたら、しっかり聴くこと自体を人はやめてしまう。そんなありがちな[聞き飽きた]情報を[耳が]受け付けない時っていうのは、何かをしばらくの間ボーッと見つめている時に似ていて、しっかりと実際に見るという動作をやめているんだよ。変化を遂げる様相には気づいても、ちゃんと目に映らない静的な要素には気づかないんだよね。
Brian Eno今まで人々が音楽として聞いたこともないような奇妙で得体の知れない物を作り出したいというのが始まりでした。
Brian Eno『うっせーな、そりゃただの雑音だよ』と大声で叫ぶ人もいたが、『それが人生ってもんだよ』とケージ氏は肩をすくめつつ笑った。
John Cage音を人間の心情や感傷を表す人工的な理論や表現の伝達媒体なんかとして使うんじゃなくて、音は音として楽しむもんなんだよ。
John Cageたった一人であっても、自分のやっている事が人を楽しませているんだと気づいた瞬間、[より上達できるよう]次のステップを見つけるために倍の努力をするようにしたよ。
John Cage