音楽考想

音楽を静かに考える場所

マイルズ・デービスの音楽を聴くときに、耳に入る音楽のどれだけが音楽で、どれだけが背景かわかる?

背景ってレコードの溝に実際に刻み込まれていない物、全てだよ。そこには曲の聴き方に影響するような、周りの人が吹き込むマイルズ・デービスはこんなにすごいんだっていう概念も含まれるよ。彼がどれだけ男前で印象的な人であったかとか、少数派ロマンチストのメンバーであったとか、チャーリー・パーカーと共演したことがあるとか、世代を超えて愛されているとか、複数の依存症を経験したとか、シシリー・タイソンと結婚したとか、服のセンスがいいとか、ジャン・リュック・ゴダールが彼を気に入ってたとか、暗い色の服をよく着ていてそれがとっても似合っていたとか、彼自身はあまり自分の作品の話はしなかったとか[、そういう情報を聞かなかったことにして彼の音楽を聴くんだ]。

当たり前のことだけど、そういう情報全てが彼の音楽を聴くときに影響するよね、言い換えれば、もし彼がオスロ出身のデブ暖房機器技師でも同じように感じることはあるかな?

音楽を聴くときって、音楽周辺にあるもの全てにも「聴く」ってことをしてると思わない?
Brian Eno